瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Feb 28, 2017

大阪大学 生物学臨海実習 (8/22-27)

Posted by TPS

年が明けてしまいましたが,まだ年度内…。今年(度)の実習の様子をお伝えします.
これからの実習に参加される方々の参考になれば幸いです.


8月22日~27日にかけて,大阪大学の生物学臨海実習がおこなわれました!

本実習のメニューは,プランクトンの観察,磯の生物観察・採集と同定,ウニの発生実験・解剖,生理学・発生学実験とその研究発表などです.

まずは久保田先生による水族館ツアーです.このパネルの前で,動物の「門」について解説してもらいました.

ほぼすべての「門」に海産の動物が含まれていますし,半数の「門」は海産の動物のみで構成されています.海の多様性の高さがよくわかりますね.

本来は畠島で磯観察をしたかったのですが,残念ながら天候が悪く船が出せませんでした.かわりに実験所近くの北浜から洞門にかけての観察ツアーとなりました.

しかし,この時間帯はまだ潮が引いておらず,かろうじて歩ける場所を一列になっての観察となりました.

タイドプールも観察にはあまり適した状況ではありませんでしたが,これも磯特有の環境を観察できる貴重な体験となりました.

阪大は夜の実習も充実しています.この日はプランクトンの観察とスケッチを行いました.

動物プランクトン4種(成体2種,幼生2種)と植物プランクトン2種がスケッチのノルマです.真剣そのものですね.

2日目はウニの発生実験です.TAによるデモンストレーションにくぎ付けになっています.

そしていよいよみんなで実践です.今回はツマジロナガウニさんに協力してもらいました.

古屋先生の講義にもあったように,ウニの卵はゼリー層につつまれています.薄めた墨汁を流して観察するとこの通り.

精子はこのゼリー層に触れると先体反応を誘起されるのです.詳しくは実習に参加してみてくださいね.

この日の夜の部は,ウニの解剖です.見てください,古屋先生のすばらしいウニの図を!

ムラサキウニさんに感謝しつつ,解剖・スケッチを進めます.夜はまだこれから….

ウニのことが好きすぎて(?),解剖じゃなくて解体をしてしまう気持ちは少しだけわかります.少しだけ.

ウニをつぶさない程度に上からおさえつつ,ヤスリで赤道面を削ると早くキレイに割れるそうです.
この「阪大メソッド」を次回の実習では生かしてみます.


3日目の実習からは生理学・発生学実験が始まりました.

フナムシの歩行パターン,ウニの受精とpHの関係,巻き貝の出殻反応の3種類からテーマを選び,班ごとに研究を進めます.翌日の午後からは,その研究成果の発表会もあります.

フナムシ班は磯にフナムシ狩りに…

ウニ班は卵と精子を集め,pH値の異なる海水で受精を試み…

巻き貝班は様々な水溶液に巻き貝を浸して反応を観察します.

実験は翌日も続きます.

フナムシの転向反応実験は作成するコースに個性があっておもしろいのです.

こちらはなんと魅惑の八叉路を作成しました.複数のフナムシさんが迷路をさまよっていますね.

午後からは研究内容の発表です.こちらは出殻反応の発表です.溶液の希釈・混合も含めてかなり緻密な実験を行っていました.

こちらはウニ受精チーム.pHによる影響を精子の運動やゼリー層の変化に注目して考察していました.

フナムシチームです.この班ではフナムシにカフェインやアルコールを与えてその影響を観察していました.発想がユニーク!

そして魅惑の八叉路はみんなの注目を浴びていました.

黒板にまだみなさんの熱気を感じます.お疲れ様でした.


Feb 25, 2017

日本甲殻類学会鹿児島大会

posted by AA

 少し前になりますが、ご報告を。
 日本甲殻類学会第54回大会が、2016年10月22日、23日に、鹿児島大学下荒田キャンパスで開催されました。同大学水産学部の鈴木廣志教授を始めとする皆さんに、お世話になりました。17題の口頭発表、26題のポスター発表がありました。
 (この記事は、日本甲殻類学会ホームページのニュースを参考にしてあります)

参加者で記念撮影。 写真:鹿児島大会実行委員会。Thanks,

ポスター発表の会場の様子。 写真:鹿児島大会実行委員会。 Thanks,








 2016年度の日本甲殻類学会賞(論文賞)は、奈良女子大学の中山真理子さん、和田恵次先生に授与されました。おめでとうございます! 
 上の写真は、学会長より表彰状を受け取る中山真理子さんです。
 受賞論文はLife history and behavior of a rare brackish-water crab, Ilyograpsus nodulosus (Sakai, 1983) (Macrophthalmidae). Crustacean Research, 44: 11-19です。
 中山真理子さんは、瀬戸臨海実験所教育拠点共同研究員として、実験所をフィールドワークの拠点として、近くの干潟のカニの生態と行動の研究を続けてこられました。この論文の全文は下記で読む事ができます。
この論文が掲載されているジャーナルの情報はこちら
 写真:中田和義(岡山大学)。Thanks!

Feb 24, 2017

International Congress of Zoology その3

posted by AA

  学会大会の後半は、場所を宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターに場所を移しての開催です。

今回は思いもよらず、瀬戸臨海実験所の関係者Alumniが多く集まり、旧交を温めることができました。
 以下のような方々です(カッコ内は現在の所属です。敬省略)。宮崎勝己(新潟大学 理学部 自然環境科学科 教授)、大久保 奈弥(東京経済大学准教授)、金城その子(国立遺伝学研究所研究員)、岡西 政典(茨城大学助教)、千徳 明日香(クイーンズランド大学JSPS海外特別研究員)、座安佑奈(沖縄科学技術大学院大学研究員)、北野裕子(宮崎大学研究員)、藤本心太(東北大学助教)、諏訪僚太(海洋生物環境研究所)。 
 また瀬戸臨海実験所の現役としては(敬省略)、原村 隆司(白眉特定助教)、加賀谷 勝史(白眉特定助教)、吉川晟弘(大学院M2)。さらに瀬戸臨海実験所への通い組から山守瑠奈(京大院人間環境学研究科M2)。

 こうやってみると、瀬戸臨海実験所とその関係者は、かなりの人材豊富におもえます。皆さんとても優秀です。 皆さん、これからまた、それぞれの道で頑張ってほしいと思います。


ものすごい数のポスターです。

あまりに広くて迷子になりそうです。

Feb 22, 2017

International Congress of Zoology その2


posted by AA

今回の学会大会の参加者は約1,100 人でした。 そのうち200 人が海外からの参加です。 かなりの規模ですね。


Plenary session の会場となったカンファレンスセンターの内部。 Opening Ceremony の司会進行役はOIST沖縄科学技術大学院大学マリンゲノミックスユニットの佐藤 矩行教授でした。佐藤先生は、京都大学大学院理学研究科の生物科学専攻の教授をつとめておられました。 京大を定年退職になる1年前に、このOISTの教授併任になり、京大定年後、沖縄に移り住み本格的に、こちらで活動を開始したそうです。 佐藤先生のラボの紹介はこちら。
  https://groups.oist.jp/ja/mgu

瀬戸臨海実験所で博士号を取得した座安佑奈さんは、取得直後に佐藤先生に研究員として雇用していただきました。なんという、有難いことか。 それにしても、この最新鋭の設備をもつ近未来的なOISTと、古い瀬戸臨海実験所とのギャップがちょっと凄いです。





カンファレンスセンターを外から見たところです。これまた奇抜なデザインですね。この会場でのOpening Ceremonyには秋篠宮殿下が来られて、挨拶をされていました。また安倍総理からのメッセージも届いていました。Opening LectureがProfessor Peter W H Holland (University of Oxford) により、なされました。

この大会のPlenary lectureは、どれも非常に魅力的でした。下記のような方々が講演をされていました。

15 November
  Zhibin Zhang (Chinese Academy of Sciences, China Beijing) Ecology
  Claus Nielsen (University of Copenhagen, Denmark) Animal evolution
  Sigeru Kuratani (RIKEN, Japan) Vertebrate evolutionary morphology
  Kiyokazu Agata (Gakushuin University, Japan) Developmental biology
  Russell G. Foster (University of Oxford, UK) Circadian neuroscience

16 November
  Thomas Cavalier-Smith (University of Oxford, UK) Evolutionary biology and cell biology
  Elly Tanaka (Center for Regenerative Therapies Dresden, Germany) Regeneration biology
  Yoshitaka Nagahama (Ehime University, Japan) Reproductive biology
  Jürgen Heinze (University of Regensburg, Germany) Reproduction, mating, and aging in social insects
  Nils Christian Stenseth (University of Oslo, Norway) Evolutionary biology

18 November
  Alison Mercer (University of Otago, New Zealand) Neuroethology: 
  Diethard Tautz (Max Planck Institute Plön, Germany) Genome biology and molecular evolution
  John C. Wingfield (University of California Davis, USA) Environmental endocrinology
  Billie J. Swalla (University of Washington, USA) Evolutionary developmental biology
  Noriyuki Satoh (Okinawa Institute of Science and Technology, Japan) Evolutionary developmental genomics



、自分として楽しみにしていたのは、Plenary session でThomas Cavalier-Smith博士 (Evolutionary biology and cell biology, University of Oxford)の講演が聞けるということでした。博士の研究は、生物の大分類に非常に大きな影響を与えてきています。

Feb 17, 2017

International Congress of Zoology その1

posted by AA

 沖縄で International Congress of Zoology が開催され、参加してきました。正式にはJoint Meeing of the 22nd International Congress of Zoology and the 87th Meeting of the Zoological Society of Japan と題され、日本動物学会がホスティングする形で、両学会のジョイント大会が開かれました。

 基本的には、沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Institute of Science and Technology)が、ホスティングの中心になっていました。


OISTのある沖縄の恩納村のホテルに宿泊しました。そこから見える景色。なんという美しいサンゴ礁でしょう。ここでゆっくり調査をしたいものです。


 今回の国際学会の前半の会場となったOISTは、そのホームページによると次のような大学です。

国際的に卓越した科学技術に関する教育及び研究を実施することにより、 沖縄の自立的発展と、世界の科学技術の向上に寄与することを目的として設立されました。5年一貫制の博士課程があり、教員と学生の半数以上が外国人であり、その教育研究活動は学際的で先端的なものです。

基本コンセプト

  • 世界最高水準(Best in the World):世界トップクラスの英知を結集し、世界最高水準の科学技術に関する研究及び教育を行います。
  • 柔軟性(Flexible):政府の規制に沿った柔軟な組織運営を行うほか、政府の資金提供のもと、自主性と運営の柔軟性を保持し、世界トップクラスの大学院大学を目指します。
  • 国際性(International):教員と学生の半数以上を外国人とし、公用語は英語とします。
  • 世界的連携(Global Networking):世界の、とりわけアジア・太平洋地域における科学者のネットワークの中心地として発展しながら、世界のトップクラスの大学や研究機関と連携して研究協力や共同研究を行います。
  • 産学連携(Collaboration with Industry):企業との共同研究や研究成果の産業化に取り組むことにより、企業の集積を促し、知的・産業クラスターを形成します。


OISTの中核をなす研究棟を北側から見たところ。センター棟と第1~第3研究棟が組み合わさった建物です。宇宙船のようですね。

研究棟の中庭で、いわゆる空中庭園をなしています。

研究棟の上下するエレベーター。 なんという斬新なデザインでしょう。

カンファレンスセンターのあるエリアと研究棟をむすぶ回廊。最新鋭のエアポートのようです。

Feb 16, 2017

大阪市立大臨海実習 (7/16-22) 

Posted by TPS

あけましておめでとうございます.本年も「せとブロ」をよろしくお願いいたします.

もう年が明けてしまいましたが,暑かったあの夏を思い出しつつ・・・.
2016年7月16日から22日にかけて,大阪市立大学の臨海実習が行われました.


本実習のメニューは,ウニの発生観察,プランクトンの観察,番所崎での磯採集・観察,そして観察結果の”プチ”発表会,さらに巻き貝の生理学実験です.

まずは宿泊棟からの避難経路の確認です.最近は白浜でも地震を感じることが増えているので,いざという時に備えます.

 初日はガイダンスのみなので,夜は決起集会(?)でした.部屋の片隅では定番の麻雀も.あの時の手牌を大公開!


2日目からはウニの発生観察です.今回も卵の透明度に定評があるコシダカウニさんの出番です.

小宮先生による採卵・採精実験の実演です.今回のコシダカさんは素直な良い子ぞろいでした.

塩化アセチルコリンを注射して・・・,期待に満ちた目で反応を待っています.どの実習でも,この時間は目の輝きが違います.


 採卵・採精が成功したあとは,スライドガラス上で受精の様子を観察します.受精膜があがっていく様子はなかなかの感動ものです.

そして発生ステージごとにスケッチです.みなさんかなりうまく描けていました。あ,写真を拡大してチェックとかしちゃダメです.

3日目もウニの発生観察を継続です.小宮先生による発生学の講義もありました.

コシダカさんも立派なプルテウスになりました.


 4日目は久保田先生による水族館ツアーから始まりました.パネルを使って動物門の解説です.

その後は実験所からほど近い番所崎での生物観察と採集です.先ほどの動物門のうち,いくつをカバーできるでしょうか.それにしてもなかなか良いアングルの写真ですな.

今回の実習は,連日とても良い天気に恵まれました.きっと採集も捗った…はず.

翌日の夜に,採集した生物に関する「プチ発表会」が企画されているせいもあり,観察には熱が入っています.

スケッチも念入りです.1人5分(あくまでも予定)の発表とはいえ,真剣に取り組んでいます.

実習のメニューは実に盛りだくさん!水族館の職員さんが採ってきてくれたプランクトンの観察も行いました.

図鑑と照らし合わせながらプランクトンを同定、スケッチを行います。ガイドブックも活躍していますね。

プランクトン観察の定番といえば、このフジツボのノープリウス幼生です。成体からは想像がつきにくいのですが、幼生を見ると「フジツボ=甲殻類」ということに納得がいくのでは?

プランクトンの観察の合間には、明日の生理学実験に使用する巻き貝の採集に出かけました。暑い中、一列に並んで小さなアラレタマキビを集めています。

採集した巻き貝は、新聞紙の上で一晩乾燥させます。口側を上にして、お互いにくっつかないように配置するのが職人技です。

この日の夜の部は、前日に採集した生き物に関しての「プチ発表会」です。各自が興味を持った生物について調べた結果を、紙、黒板、タブレット、身振り手振りとあらゆる方法で発表していきます。

短期間でまとめたとは思えない素晴らしい内容、そしてユニークな発表が目白押しでした。時間が経つのも忘れるくらいに…(23時過ぎに終了)。

職人が一つ一つ丹念に乾かした結果がこちらになります。すばらしい!もちろん乾燥に強い巻き貝さんは元気に生きています。


6日目は巻き貝の出殻反応実験にチャレンジです。いや、本当に盛りだくさんの実習ですね。

職人たちの手によって一晩乾燥させた巻き貝を、様々な水溶液に浸し反応を観察します。殻に閉じこもる、殻から出たままになる、逃げるなどの行動が観察できます。

最後は巻き貝さんの気持ちを知るため、みんなで水溶液を味見しました。より深く巻き貝について学ぶことができた…はずです。

おつかれさまでした!