瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Aug 19, 2017

日本甲殻類学会・日本貝類学会合同シンポジウム(第2回)「捕食・被食と殻の役割」

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2017106日(金)13:00-17:45
東京大学 柏キャンパス 大気海洋研究所 講堂

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日本甲殻類学会と日本貝類学会は、それぞれ甲殻類および軟体動物の生物学を扱う学会として、ともに長い歴史があります。日本とその周辺域は、甲殻類および軟体動物の種多様性は非常に高く、海洋、陸水、陸上の生態系における重要な位置を占めており、古くからさかんに研究が行われています。またそうした生態系における甲殻類と軟体動物の関係は多種多様で、共生関係、寄生、捕食・被食関係、競争関係など、さまざまです。近年のこうした分類群間の研究によって、非常に興味深い、場合によってはわれわれの想像を超えた面白い現象が発見されています。 こうしたことに鑑み、日本甲殻類学会と日本貝類学会は合同でシンポジウムを開催することとなりました。
第一回目は、2017415日に和歌山県の白浜町で開催され、海外からの3名の招待講演者を含む国際シンポジウムとして、日本貝類学会の大会内で行われました。シンポジウムのメインテーマは「共生、寄生関係に関する進化生物学」で、150名あまりの参加者がありました。
今回、東京大学大気海洋研究所で、日本甲殻類学会大会の開催前日に、第二回目の合同シンポジウムが開催されることとなりました。今回のメインテーマは「捕食・被食と殻の役割」で、貝類・甲殻類間の捕食と被食、あるいはそれに関わる形態進化、または殻を利用した被食回避についてを主たる内容にしたもので、新進気鋭の研究者による最前線の研究内容が発表されます。
 参加は両学会の会員・非会員にかかわらず無料、事前の申し込みも不要です。多くの皆さんのご参加を期待いたします。

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コンビナー:狩野泰則(東京大学 大気海洋研究所)
実行委員:狩野泰則・猿渡敏郎・大土直哉・中野智之・福森啓晶・高野剛史・矢萩拓也
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日本甲殻類学会・日本貝類学会合同シンポジウム
「捕食・被食と殻の役割」

プログラム

入江貴博(東京大学 大気海洋研究所)「誘導防御:いまさら訊けない蟹と貝のカンケイ」

藤原慎一(名古屋大学博物館)「カニのハサミのかたちと使い方の関係~形態から見積もるハサミの破壊力と壊されにくさ」

加賀谷勝史(京都大学 白眉センター)「シャコの殻割り行動の制御機構」
石川牧子(ヤマザキ学園大学 動物看護学部)「太古の攻防を垣間見る:生痕から見る貝・ヤドカリへの捕食圧」

早川 淳・大土直哉(東京大学 大気海洋研究所)「大型甲殻類および肉食性巻貝類によるサザエの捕食とその痕跡」

中山 凌・中野智之(京都大学 瀬戸臨海実験所)「捕食回避から見るカサガイの巻貝への付着行動」

晃(東京大学 生物科学専攻)「イソダニ類の摂餌生態と貝形虫の捕食痕」

角井敬知(北海道大学 理学部)「巻貝の殻を背負って生きるタナイス」

遊佐陽一(奈良女子大学 理学部)「寄生性フジツボ・トサカエボシのアグレッシブな摂食」

AKI INOMATA(現代美術家)「ヤドカリの宿貝替え行動を用いたアート作品の制作」
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詳細は下記です。

 http://csj-symposia-2017.webnode.com/accommodation/


Aug 17, 2017

大阪大学インターナショナルカレッジ臨海実習 (9/20-9/25)

Posted by TPS

(昨年の)9月20日~25日にかけて,大阪大学インターナショナルカレッジの臨海実習がおこなわれました.かろうじて周回遅れになる前にブログにできました….

本実習のメニューは,磯採集・観察、ウニの発生観察,ウニの解剖,フナムシの交代転向反応,十脚類の解剖と中々に盛りだくさんです.

まず初日は標本の観察と水族館の見学ツアーからスタートです. 白浜水族館は海産無脊椎動物の展示に力を入れているため,採集前の予備学習にはうってつけです.

その後は北浜の岩礁地帯での採集に繰り出しました.班ごとにターゲットとなる分類群が割り振られているので,とても効率的でした.

こちらは魚類班.岩の隙間に入り込んだスズメダイを追い出そうと苦心しています.

漂着した浮きの穴からゴカイの仲間を採集できました.

ラボに戻ってからは同定作業に没頭します.白浜の海岸生物観察ガイドが大活躍(宣伝)!

この実習では,採集した生き物の情報をデータベースに登録していくのが特徴です.採れたての情報が蓄積されて,次年度以降にも活用できるのはすばらしいですね.

同定作業は夜まで続きます.ハゼの仲間はハードルが高そう...


2日目はウニの発生がメインです.まずは山田先生によるウニの講義です.

今回はムラサキウニさんに協力してもらいました.無事に卵を採取できたようです.

あとはひたすら観察するのみです.ウニの発生は受精からの数時間の変化が大きいので,序盤は大忙しです.

昼からは番所崎での採集でした.大きめのタイドプールからはヒョウモンダコが!咬まれたら危険です.

この日も夜遅くまで同定作業が続きます.貝類は多様度が高いので,なかなか時間がかかります.右側は刺胞動物チームです.顕微鏡でイソギンチャクの触手をカウント中でしょうか.

 3日目はウニの解剖からスタートです.昨日と同様,山田先生からウニの外部構造や内部構造について解説してもらいました.

棘をカットして,ウニの歩帯や間歩帯を観察していきます.

 写真のようにヤスリで殻の外側を丁寧に削っていくと...右のようにきれいに割ることができます.これで内部形態が観察しやすくなりました.

 こんなデカイ「ウニ」も採集されていました.山のウニですけどね.

 午後からは行動観察のためのフナムシを採集に出かけました.強い日差しの中,磯のスピードキングを捕まえるのは本当に大変です.

無事に捕獲できたら,アルミホイルで通路を作りフナムシの行動を観察します.

 通路の作り方にも個性が出ますね.曲がり角が続くとどういう行動を示すでしょう?


 最終日の朝には何やら高級食材が立派な甲殻類が水槽に降臨していました.これをどうするのでしょう.

この日のメニューは十脚類の解剖です.Thorsten先生が十脚類の体節構造を解説しています.

 実際に解剖しつつ,顎や脚の位置と構造を確認していきます.

ちょっと複雑なところは先生が手助けしてくれます.クルマエビとガザミでうまく比較できたでしょうか.

観察した(発見できた)触角,小顎,大顎,顎脚,歩脚を紙に貼ってレポートの完成です.なかなかユニーク!

この日の締めくくりは,各班が担当していた動物群の発表です.どんな種類が採れたか,どんな情報が増えたかを各人が報告しました.以上で実習メニューは終了です.

実習の後は完璧なBBQの始まりです.天気にも恵まれて楽しい一夜になりました.観察後の十脚類も,もちろんおいしくいただきました.

デザートは焼きマシュマロ.なんだか雰囲気の良い写真が撮れました.みなさんお疲れ様でした.

Aug 9, 2017

京都大学臨海実習第2部・公開臨海実習「発展生物学実習」 (2016 9/13-19) その2

Posted by TPS

京都大学の臨海実習第2部・公開臨海実習「発展生物学実習」の続きです.

 4日目は十脚目以外の甲殻類を観察します.実験所のすぐ近くにあるフィールドへ出かけました.

時間の関係であまり潮は引いていませんでしたが, フジツボやカメノテの野外での様子はよく観察できました.

 ラボに戻って採集物の解説・観察・スケッチの時間です.

フジツボやカメノテを解剖しつつ,各パーツをスケッチしていきます.これらは蔓脚下綱に属する固着生物ですが,れっきとした甲殻類です.甲殻類の特徴をしっかり観察できたでしょうか?

フジツボの解説をする大和先生のTシャツにご注目ください.次に扱う生き物を暗示(いや明示か)しています.

そう,次は磯のアイドル「フナムシ」さんの解剖とスケッチです.観察の途中で逃げ出されては困るので,エタノールで固定したものを使います.ご安心を…。

慣れてしまえばちょっと足の多いエビみたいなものです….笑顔だって自然に作れます.

この後は顕微鏡がお友達です.ひたすら観察とスケッチで4日目は終了です.


そして5日目.この日のメニューは朝倉先生によるヤドカリの体構造観察とスケッチです.

材料は,イソヨコバサミやホンヤドカリのエタノール固定標本です.ヤドカリを観察するには,まず殻を割ってあげる必要があります.万力で中身を傷つけない程度に殻を締め上げます.

うまくいくと殻だけが割れて,このように本体を取り出すことができます.うまくいくと…ね。

殻さえ除けてしまえば,観察は容易です.ヤドカリの体の「各パーツ」ごとに解剖し,どんどんスケッチを続けていきます.

朝倉先生による直接指導を受けている彼は,この半年後に当実験所のメンバーになりましたとさ.めでたしめでたし.

 細かく立体的なパーツが多いので,観察するには工夫も必要になります.みなさんのセンスが光ります.

この日もスケッチをおなか一杯堪能できました.これでもう,磯でヤドカリを見つけたら「この根元に触角棘が…」「生殖孔の位置が…」なんていう専門トークができますね.


実習も6日目になりました.実習メニューとしてはラストとなる,カサガイ類の行動観察のスタートです.いつも石にくっついて動かないイメージのあるカサガイですが,意外にアクティブなのです.

カサガイのお尻(後部の殻上)に肉食性の巻き貝を乗せてみましょう.

するとカサガイはいろいろな防御行動を見せてくれます.急に逃げ出したり,外套膜を拡げてみたり…。詳細は実習に参加して実際に体験してみてください.

次に登場するのはこのお方.中野先生の奥さん作,とってもリアルなカサガイのぬいぐるみです.

ちゃんと殻が外れるギミックつきです.これから実際に殻を外して,鰓のつき方などを観察していきます.

貝類の殻を外すには茹でるのが一番です.カサガイなら10秒ほど茹でるとポロリと殻が外れますが,巻き貝の場合は温度や茹で時間によって殻の外しやすさが変わります.「肉抜き」は奥の深い職人の世界なのです.

2日目に採集されたハナデンシャは今日もみんなのアイドルでした.刺激を与えると発光するということで,身を乗り出しながら観察しました.

最終日の夜は恒例の「反省会」です.準備段階から手伝ってもらい,大いに「反省」が進みました.

なかなか内容の濃い1週間になると思います.京大臨海実習第2部、公開臨海実習「発展生物学実習」に参加してみませんか?