瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Oct 31, 2015

祝! 中町君論文出版

posted by AA


修士課程2年生の中町君が論文を出版しました。おめでとうございます!

Takeru Nakamachi, Hideki Ishida, and Noritaka Hirohashi
Sound Production in the Aquatic Isopod Cymodoce japonica (Crustacea: Peracarida)
Biol Bull 2015 229:167-172.


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要旨

節足動物には多様な発音行動とそのメカニズムが発現する。特に昆虫と十脚甲殻類の発音はよく研究されている。しかし、甲殻類でも水棲の等脚類の発音行動の詳細な研究は、これまでごくわずかである。われわれは、水棲等脚類の発音、Cymodoce japonicaのオスが摩擦発音、体のパーツ同士をこすり合わせることによって音を出すことを証明した。本種の尾を振り上げる動作に付随した発音は、摩擦音が胸部及び、腹部の体節で起きていることを示唆する。音声の解析は、発音のそれぞれの音節の長さが互いに似通っていることを明らかにした。その周波数の最頻値は2500Hz-3000Hzである。そして、走査電子顕微鏡を用いることで、背面の外骨格の内側にはヤスリ状の構造を発見した。それぞれのヤスリは188±11.1本、0.5 μm間隔の歯を持ち、その歯の数を音節の長さで割ることで、周波数の理論値は2208-3646Hzと計算された。この発見は摩擦音がこれらの構造より発せられることを示唆する。研究室での観察結果はこの摩擦音がテリトリー防衛と繁殖競争において、他のオスを威嚇する役割を果たすことを示した。
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ピンク色のフジツボの殻の中で鳴き合う2匹のオスのCymodoce japonica。このフジツボにマイクを仕込み、音声を記録した。