瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Oct 18, 2014

京都大学臨海実習二部+公開臨海実習が開催されました!

研究員のMokanishiです.

2014年9月4日~10日にかけて,京都大学臨海実習(第二部)と公開臨海実習が同時開催されました.

本実習では発展的な動物観察に焦点を当て,カメノテ,ヤドカリ,腹足類,多板類の解剖,プランクトンに見られる親子関係の観察,メイオベントスの観察などが行われました!

プランクトン観察の様子

畠島での磯観察



軟体動物の解剖

メイオベントス捕獲・観察用の
「アーウィンループ」

万力によるヤドカリの抽出

打ち上げの様子

詳しい様子は別のブログにまとめてありますので,こちらもどうぞ.

Oct 15, 2014

IAA&CSJ Joint International Conference on Crustacea was a great success! その2

posted by AA

 今回のこの国際学会では瀬戸臨海実験所からは、大学院生の中町建君、小泉智弘君、ザケア・サルタナさんが参加し発表しました。 また瀬戸臨海でフィールドワークやラボワークを行った奈良女子大学の院生の宮嶋さんと安岡さんも発表されました。中町君は大健闘でした。また宮嶋さんの完璧な英語力に驚き!




休憩時間に談笑するみなさん。左にいて、こちらを向いているのがProf. Neil Cumberlidgeさん

瀬戸臨海の朝倉所長とProf. Neil Cumberlidgeは、この本の中の章を執筆しています。2009年に出版されています。

これはSan Anntonio (USA) で開催されたDecapod Crustacean Phylogeneticsという国際シンポジウムに招聘講演をした際の成果報告の本です。

この本の中の、朝倉所長の大作論文は下記よりダウンロードできます。

 http://decapoda.nhm.org/pdfs/30942/30942.pdf


ポスターセッションの様子。熱い議論が展開されています。


ポスターセッションの様子。


ポスターセッションの様子。ちらっと顔が見える黄緑色のTシャツを着ている人(写真中央)が、International Association of Astacologyの Past PresidentのDr. James Furseさん。 今回のJoint Conferenceを非常に協力的に推進してくださいました。ひたすら感謝、感謝です。

Dr. James Furseは、朝倉所長がEditor-in-ChiefをつとめたオランダのBrill社のCrustaceana Monographes 15の New Frontiers in Crustacean BiologyのEditorial Board memberになってくださり、また論文も執筆していただきました。この本は2009年に日本甲殻類学会が国際甲殻類学会と共同でおこなったConferenceの成果をもとに、作成されました。この本は2011年に出版されました。ここでもまた、Dr. James Furseに感謝、また感謝です。こうした人と人とのつながり、本当にありがたいことだと思います。ちなみに、この本の表紙には故杉浦千里さんの絵を白黒反転させたものを、ご遺族のご好意により使わせていただいています。
この本の概要は下記に出ています。


バンケットで談笑するProf. Neil CumberlidgeとProf. Sergio Bueno.  




バンケットの様子。

今回はバンケットでオークションも開催されました。このコングレスバッグは、先に瀬戸臨海の宮崎講師も参加されたフランクフルトでのInternational Crustacean Congress のバッグで、 ChairpersonのMichael Tuerkay博士を始めとする国際甲殻類学会の重鎮の方々が、わざわざこのIAA&CSJ Conferenceのオークション用にサインをしてくださったものです。まったく涙が出るくらいに有難いことです。



オークションで、この世界でたったひとつの貴重なサイン入りバックを競り落とした、北九州北九州市立いのちのたび博物館の下村 通誉博士。



ポルトガルの甲殻類研究者からは、十脚甲殻類の幼生が書かれているオリジナルTシャツが、オークションのために出品されました。



このシャツをみごと競り落とした瀬戸臨海実験所の小泉君。酒で赤くなった顔をさらに紅潮させて、勝利のスピーチをしました。


ピンクのTシャツを競り落とした元International Association of Astacology のPresidentのDr. James Furse。
こうしてカンファレンスの夜はふけていきました。


Oct 12, 2014

IAA&CSJ Joint International Conference on Crustacea was a great success! その1

posted by AA






 9月20日(土)、21日(日)に札幌のかでる27で行われた表記の国際学会は、無事終了しました。
 
大会委員長の川井唯史博士。2つの異なる学会の意見を調整して、ひとつにまとめて国際的なconferenceをorganizeする、というのは大変に困難な仕事です。それを、すぐれたリーダーシップによって見事に成し遂げました。もう、あっぱれと言うしかありません!


Prof. Neil CumberlidgeNorthern Michigan University, USA)。アフリカとマダガスカルのサワガニ類を中心とする淡水産カニ類の系統分類、進化、生物地理、保全に関する研究の第一人者です。またInternational Union for the Conservation of Natureにおける淡水産のカニ類とザリガニ類の委員会の代表者を務めています。今回は、Biology and the conservation of freshwater crabs と題して長年の氏の研究成果をもとに広い視点からの講演を行った。信じられないような美麗なマダガスカルのサワガニたちに、参加者から驚きの声があがっていました。

Prof. Amir Sagi (Negev Ben Gurion UniversityIsrael)は、甲殻類のバイオミネラリゼーションと性の遺伝的な発現機構の研究の国際的第一人者です。International Society for Invertebrate Reproduction and DevelopmentPresidentをつとめ、Global Aquaculture Alliances inaugural Novus Global Aquaculture Innovation Awardの受賞者です。今回は「RNAi-based biotechnologies to control sexuality in crustaceans: environmental implications」についての講演を行いました


Novus Global Aquaculture Innovation Awardの記念講演の様子。Copyright: Newsletter, International Society for Invertebrate Reproduction and Development

International Society for Invertebrate Reproduction and Developmentの2011-2013の役員。Copyright: Newsletter, International Society for Invertebrate Reproduction and Development




今回はAmir Sagiさんのご好意で、ISIRDのウエブサイトにも広報をのせていただきました。



Dr. Paolo Vezza (Universidad Politécnica de Valencia, Spain)の主たる研究テーマはRegional meso-scale habitat models for environmental flows assessmentです。今回は絶滅危惧のザリガニに関する講演「Quantitative habitat models for the conservation of the endangered crayfish Austropotamobius pallipes complex」を行いました。

Prof. Sérgio Bueno (University of São Paulo, Brazil) は、十脚類の異尾類の中でも特異なグループであるタンスイコシオリエビAeglidaeについての生態、分類、保全に関する研究の第一人者です。タンスイコシオリエビは、南アメリカ大陸の南緯20-50度、標高320-3500mの範囲にのみ生息し約70種が知られる特殊な異尾類です。Bueno氏は1999-2002年にブラジル甲殻類学会の会長を務め、同学会の発展に大きく貢献しました。今回はそのタンスイコシオリエビについてのBueno氏の研究を中心とした紹介「Remarkable anomurans: the family Aeglidae Dana, 1852」の講演を行いました。ヤドカリに近いなかまですが、直達発生し非常に大きな卵をうむこと、オスが腹肢を欠くこと、糸状構造をもつ鰓をもつことなど、特異な特徴をもつ、きわめて珍しい十脚甲殻類です。生息範囲がせまく、大半の種が絶滅の危機に瀕しています。

今回はSérgio Buenoさんのご好意で、ブラジル甲殻類学会のウエブサイトにも広報をのせていただきました。 Copyright: Brazilian Crustacean Society


Oct 6, 2014

行ってきましたフランクフルト(後編)

by KM
 
前編に引き続き、ICC-8の後編です。

 今回の学会では、シンポジウムでの口頭発表に加え、ポスター発表も行ってきました。

 内容は動物分類学会の時とほとんど変わらないので、ポスター作りは楽勝かと思ったのですが、単純に英訳すれば済むわけではもちろん無く、レイアウトを整えたりするのに結構苦戦しました。
こちらが出来上がったポスター"Mochizuki, Nakano & Miyazaki. Life history and development of Ammothella biunguiculata (Pycnogonida, Ammotheidae) of the two populations in Japan: Are they same species?"です。望月君が第一著者なので彼もフランクフルトへ来る、という話もありましたが、結局仕事の都合で実現なりませんでした。
 ポスター発表も無事終わり(としておきましょう)、この日の夜はcongress dinnerです。
大学のbanquet hallで、バイキング式の食事です。
会場はこんな感じ。
琉球大・吉田君や六甲アイランド高等学校の丹羽信彰先生らと同じテーブルでした。丹羽先生とは今回が初対面でしたが、SSHで高校生を国際学会で発表させた話など、いろいろと興味深い話を伺いました。
ウミグモグループも話しに花を咲かせます。2017年(多分)に4th International Congress on Invertebrate Morphologyがモスクワで開催される予定なので、次はその時にウミグモシンポジウムを開こうという話で盛り上がりました。
なおこのディナーでもビールは全く供されず、レセプションの時と同じく、アルコールはワインのみでした。

 今大会には、瀬戸臨海からは私の他にZakeaさんが参加し、口頭発表"Sultana & Asakura. On the larval development of two hermit crabs, Pagurus lanuginosus (de Haan, 1849) and P. maculosus (Komai & Imafuku, 1996) (Decapoda, Anomura, Paguridae): An evidence for phylogenetic relationship."を行いました(すみません。Zakeaさんが写った写真が一枚もありません…)。

 私自身、国際甲殻類学会は2005年スコットランド・グラスゴーでの第6回大会以来2度目の参加でしたが、その時に比べややこぢんまりした印象を受けました。前会長の朝倉先生の情報では、今大会の開催にあたって、意見の相違からある大きなグループ(派閥)が不参加となったそうで、その事が原因ではとのことです(ヤレヤレ…)。また日本の甲殻類学会が、今年度の大会をInternational Association of Astacologyと合同でJoint International Conferenceとして9月に開催するということで、多くの日本人学者がそちらの方へ参加してしまい、日本からの参加者も相当少なかった様子です。とはいえ甲殻類といえば、無脊椎動物の中ではメジャーグループであり、マイナー中のマイナーグループであるウミグモ研究者としては、このような大会が開けることがやはり大変羨ましかったです。

 今回は大会主催のエクスカーションも無かったので、時間が空いたときに適当にフランクフルトの街をふらふらしてきました。その時に撮った写真をいくつか紹介します。
フランクフルトは人口70万人程度とさほど大きくありませんが、ヨーロッパの金融の中心地であり、ドイツの街には珍しく200 m級の高層ビルが立ち並び、マンハッタンをもじってマインハッタンと称されます。
観光名所の一つ、レーマー広場。ちなみに"U"のマークの看板は、"U-Bahn"すなわち地下鉄の看板です。
街の中心をマイン川が流れ、川下りも楽しめます。帰りの飛行機が夕方発だったので、私も滞在最終日のお昼に、写真の船に乗ってきました。
船で食べたランチ。いかにもドイツっぽいでしょう。いずれにしても、ドイツで飲むビールはやっぱりウマい。

マイン川の写真にも写っていた街のシンボル、フランクフルト大聖堂。ゴシック式の建物で、高さ95 mの塔からの眺めは最高とのことでしたが、この日はお休みで塔には上れず残念。
 
大聖堂内部にはだだっ広い空間が広がっています。が、写真ではそのスケール感はなかなか伝えられません。
 
ハイジがアルムの山々を眺めようと上った(けど見られなかった)教会の塔は、大聖堂の塔とずっと信じていたのですが、実はこの(たまたま撮っていた)カタリーネン教会の塔だったと、帰国後に知りました。ちなみに今の塔は、戦災で焼け落ちた後に再建されたものだそうです。
地下鉄動物園駅のホーム。なかなかいい感じの壁画です。
ゼンケンベルク博物館で展示されていた、動物の進化史をまとめた図。仮想動物の体制の変遷が、研究者心(?)をくすぐります。
 
今回、夏の実習シーズンの合間を縫いながら、なかなか時間を割けず(しかも口頭とポスターの二つの発表)、これまでで一番準備に苦労した国際学会となりましたが、ウミグモ研究者を中心に新たな繋がりが出来、様々な情報交換も出来て、無理してでも参加した甲斐があったというものです。

 
 ところで今回のウミグモシンポジウムは、本来は元ロンドン自然史博物館学芸員で、ウミグモやタナイスの分類で有名なRoger Bamber博士が中心者の一人となるはずでした。しかし博士は原因不明の末梢神経の病に倒れ、今回の参加は叶いませんでした。博士とはグラスゴーでの大会の時に、当時勤めていた自然史博の研究室を訪問し、それ以来論文原稿を見てもらうなどいろんな場面でお世話になっています。残念ながらかなり重症の状態が続いているとのことですが、一日も早い回復を祈っています。
ロンドン自然史博でウミグモ標本庫を見せてもらった時の博士の写真。博士はウミグモ類の分類に関する、Krapp先生・中村先生の次の世代のリーダー的存在なのですが…。

Oct 1, 2014

祝! 諏訪僚太さん 論文出版!

今年の3月に任期を終えた瀬戸臨海実験所元JSPS特別研究員の諏訪僚太さんが、在任中に行った共同研究の論文が新たに出版されました。
Ryota Suwa, Masayoshi Hatta and Kazuhiko Ichikawa (2014)

Proton dynamic and material energetic control on calcification and decalcification

Chemistry, DOI:10.1002/chem.201402210

  本論文は、サンゴなどの石灰化生物の石灰化はこれまで考えられてきた炭酸イオンCO32-とカルシウムイオンCa2+による沈殿/溶解の物理的可逆反応よりも、存在量の多い炭酸水素イオンHCO3とカルシウムイオンCa2+による石灰化/脱石灰化の可逆的酸解離反応から起こっている可能性を炭酸系イオンの溶解したNaCl溶液への強酸・アルカリ滴定実験や熱力学におけるギブスの自由エネルギーの解析により検証しています。また、酸性環境下における造礁サンゴの1種コユビミドリイシAcropora digitifera稚個体の骨格形成部位のpH低下量についても暴露実験を用いた骨格重量と海水のpH及びCO2濃度の変化を用いた解析によって推定しています。 

実験の結果、海洋酸性化がサンゴなどの石灰化に及ぼす影響は炭酸イオン濃度の低下によるものでは無く、pH低下(プロトンの増加)によって石灰化/脱石灰化の化学反応Ca2+ + HCO3 CaCO3 + H+において脱石灰化側に平衡が寄ることで引き起こされていることや、CO2排出が多くなる産業革命以前と西暦2100年の海洋のCO2濃度条件ではサンゴ反口側外胚葉下部の石灰化部位に約-0.3pH低下が生じている可能性が示唆されました。 

ミドリイシ属サンゴの群落。沖縄県渡嘉敷島水深5m。

本研究はお茶の水大学、北海道大学との共同研究になります。また、この研究は瀬戸臨海実験所所長の白山先生から北海道大学名誉教授の市川先生を紹介して頂いたことに端を発した研究になります。白山先生、有り難うございました。