瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Sep 23, 2014

祝! 岡西政典さん 論文出版!

Posted by AA

瀬戸臨海実験所 教育拠点研究員の岡西政典さんが,鳥羽水族館の森滝丈也さん,国立科学博物館の藤田敏彦さんと共著で論文を発表されました.おめでとうございます!


Masanori Okanishi, Takeya Moritaki and Toshihiko Fujita. (2014)

"Redescription of an euryalid bittle star, Astroceras coniunctum (Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalidae)."

 Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series A (Zoology). 40 (3): 133-139.


  本論文では,2012年に三重県鳥羽水族館に持ち込まれた三重県沖のクモヒトデと,2013年に高知のサンゴ漁で得られたクモヒトデの標本が,ツノモヅル属(Astroceras)のAstroceras coniunctum Murakami, 1944であると認めたため,再記載しました.

ツノモヅル属の種は,体の表面にツノのような突起をもつのですが,それが同属の他の種と比べて非常に大きいことで区別されます.また,この特徴をもって本種に「オニツノモヅル」という標準和名を付けました.

本種は村上子朗によって1944年に記載されて以降,実に70年ぶりの発見となります.このような再記載は,当時と現在の海洋環境を比較する上で非常に重要です.

三重から採集されたばかりのオニツノモヅル(撮影:森滝丈也)

アルコール標本になったオニツノモヅル.

本研究では,大阪市立大学の江崎洋一教授と,瀬戸臨海実験所の千徳明日香博士に便宜を図っていただき,デジタルマイクロスコープ(VHX)での写真撮影を行わせていただきました.ありがとうございました!

Sep 21, 2014

行ってきましたフランクフルト(前編)

by KM

 8月の16~25日にかけ、ドイツはフランクフルトへと行ってまいりました。もちろん白浜の海で天真爛漫に遊んで暮らしていたら、なぜか大富豪のお嬢様の遊び相手としてスカウトされたからではなく、フランクフルトのゲーテ大学Johann Wolfgang Goethe-Universitätという所で開催された8th International Crustacean Congress (ICC-8)で発表するためです。

 今回の学会バッグです。ゲーテ大学は今年が創立100周年。ドイツの大学としては、新しい方でしょうか。今回はTシャツやマグカップといった、学会グッズの販売が全く無く、とても残念でした。

 しかしウミグモ学者である私が、なぜライバルである(と勝手に思っている)甲殻類の学会で発表をするのかといいますと、今回のこの学会では"Marine Chelicerata"すなわち「海産鋏角類」というタイトルのSpecial Symposiumが開かれ、(おそらく)世界中からウミグモとカブトガニの研究者が集うからなのです。

 で、南紀白浜→羽田→成田→フランクフルトというルートで、会場へと到着いたしました。

 大会は自然科学系のキャンパスでは無く、なぜか哲学・神学・歴史学系のキャンパスで行われました。あとで調べると、自然科学系のキャンパスは町の中心部から相当離れたへんぴな場所にありました。郊外に新キャンパスが出来た時は、工学系や自然科学系がそこへ移らされるのは、大体どこも同じですね。

それほど広くはありませんが、緑が多く、なかなかいい感じのキャンパスです。
メイン会場の入口。看板が控えめに掛かっています。
キャンパス内の広場には、なにやら哲学的なオブジェが。
海産鋏角類のシンポジウムは大会二日目にありました。

会場は大学の教室ということで、やや殺風景です。
世界中の全てのウミグモ学者が、というわけにはいきませんでしたが、それでも久々に会う人やら、論文で名前を知っていたが初めて会う人がちらほらと。
上の写真で、手前のこちら向きが、今回のシンポジウムのカブトガニ側convenerであるデンマークAarhus大学のPeter Funch博士、背中を向けているのがウミグモ側のオーストラリアQueensland博物館のClaudia Arango博士です。Claudiaさんとは2010年にオーストラリアで会って以来となります。
 奥の左端はドイツRuhr大学BochumのLars Dietzさん、その右はスペインBarcelona自治大学のAnna Soler-Membrives博士です。どちらも初対面の若手研究者で、嬉しい新規ウミグモ参入組です。
 打って変わって右側はベテラン勢。手前は動物分類学会でも紹介した中村光一郎先生ご夫妻、その後方右端はドイツAlexander König博物館のFranz Krapp先生です。Krapp先生には、1999年の私のポーランド在外研究期間中に、一度ボン郊外の先生のお宅に家族で泊まらせてもらったことがあり、その後も研究面で大変お世話になっていますが、実際お目にかかるのはその時以来15年ぶりとなります。中村先生、Krapp先生とも特にウミグモの分類学の発展に大いに貢献された大御所で、他の若手研究者の人たちも大きな尊敬を持って接していました。

 発表も無事終わり(としておきましょう)、この日の夜は学会のreceptionです。
会場は、市内にあるゼンケンベルク自然史博物館Senckenberg Naturmuseum。恐竜の展示が特に有名です。

会場前でウミグモチームの集合写真です。シンポジウムの写真で紹介してないのは、前列左端のドイツRuhr大学BochumのFlorian Leese博士。Larsさんの指導教員で、広く水生動物の分子生態学や系統地理学を手がける気鋭の研究者です。それから後列左端のロシア国立Moscow大学のEkaterina Bogomolova博士。ウミグモ類の特に幼生の形態と進化に関する様々な業績があります。前列右端の女性もLeeseさんのところの学生さんなのですが、発表が無かったこともあって、名前を失念してしまいました(スミマセン…)。

 
さて中へ入ろうかと思ったら、フクロムシの琉球大吉田君の姿が。まあ甲殻類の学会なので、私がいるより彼がいる方がむしろ自然なのですが。ちなみに彼が大会期間中ずっと着用していた緑ジャンパーは、学会会場でかなり目立っておりました。

Receptionは博物館地下1階のフロア、恐竜化石(のレプリカ)が立ち並ぶスペースで行われました。

お偉いさんの挨拶が続いていると、なぜか遅れてやってきたデンマークCopenhagen大学のJens  Høeg博士の姿が(壇上右から二番目)。この後彼は挨拶が続く中、その前を通ってそそくさと階下へ降りてきました。

ウミグモチームのテーブルです。Receptionではドイツなのにビールが全く出ず、お酒はワインのみでした。フランクフルトを流れるマイン川の上流は、有名なフランケンワインの産地で、特に白がきりっとした辛口で美味しかったです。

 ICC-8はまだまだ続きますが、長くなりそうなので残りは後編にて。

Sep 15, 2014

関西学院大学の実習が開催されました.

Posted by Mokanishi

どうも研究員のMokanishiです.

2014年8月22日~26日にかけて,関西学院大学理工学部の臨海実習が開催されました.

本実習では畠島と番所崎でのマクロベントスの観察,プランクトン観察,ウニの発生実験,水族館見学などが行われました!



実習船「ヤンチナ」で渡島!

良く晴れた畠島での磯観察.

採集生物の鑑定の様子.

ウニの発生観察.
偏光板を使って骨片を光らせています.

 プランクトン採集の様子.
この実習では自ら水中に入ります.

比較的短い期間で,たくさんの項目を精力的にこなしていました.

関西学院大学の田中先生,関先生,内田先生,富永先生,加藤先生,今年もお世話になりました!

詳しい様子は別のブログにまとめてありますので,こちらもどうぞ.

Sep 14, 2014

気仙沼でのポケゼミ その4

ポケゼミ五日目です。



宿泊している「ひこばえの森 交流センター」。ここで寝袋とマットで、寝ます。朝と晩の食事つきです。

 本日は一関市の矢越山に登ります。ここは畠山さんが力を入れている植樹の拠点となっている山です。毎年6月に開かれている植樹祭には全国から12001500名の方々が参加されているそうです。畠山さんの信念とするところが、 広報いちのせき「I-Style」 平成25715日号につぎのように書かれています。
--------------引用ここから-----------------
海と森は、密接な関係にあります。
 落ち葉や枯れ木は、虫や微生物によって分解され、養分をたくさん含んだ「腐葉土」と呼ばれる土になります。
 雨や雪解け水は、この腐葉土に染み込み、長い時間をかけて流れ出します。
 腐葉土に含まれるリンや窒素などの養分も一緒に溶け出します。
 養分を含んだ森の水は、川となって、海に流れます。
 森から海に運ばれた養分は、海中の植物プランクトンを育み、貝や魚などが生息する豊かな海を作ります。そうです。森は海の恋人なのです。

--------------引用ここまで-----------------

さらに 広報いちのせき「I-Style」からの引用。

--------------引用ここから-----------------
 なぜ、漁民が山に木を植えるのか―1980年代初頭、気仙沼湾の汚れた海に赤潮が発生。湾内で養殖するカキの身が赤くなる「血ガキ」の被害が相次いだ。
 当時、フランスを視察した畠山さんは「川の上流にあるブナやクルミの森がきれいな海を守っている」ことを知る。海中の植物プランクトンは、動物プランクトンに食べられる。それらを食べた小魚は、大きい魚に食べられる。これが海の食物連鎖だ。つまり、食物連鎖のもととなるのが、植物プランクトンなのである。その植物プランクトンを増殖するのに森林が深く関わっているというわけだ。
 カキやホタテは、大量の植物プランクトンを食べて育つ。プランクトンの発生には、豊富な窒素やミネラルが不可欠であり、これらの養分を海に補給しているのが「森」だ。腐葉土には、プランクトンの成長に必要な養分が多く含まれている。川の上流に降った雨は、腐葉土の養分を溶かして海に運ぶ。流域に広がるブナ、カエデ、ナラなどの落葉広葉樹の森を守り、育てることが、カキやホタテの成長には重要だ。
 植物プランクトンが繁殖しやすい環境をつくることは、動物プランクトンや魚貝類を含む豊かな海を育むことにつながる。裏を返せば、森が失われると、豊かな海も失われるのである。 
 海の生態系は、森の生態系や川の生態系と密接につながっている―。そのことを知った海の男たちが、何もしないわけはない。切実な思いから始まった行動は一気に加速した。きれいな海を取り戻し、豊かな海を育むために。
--------------引用ここまで-----------------

さまざまな木を山に植えたことで土壌がふかふかな豊かな黒土に変わった。すると自然に湧水がわいてきたという。この水は冷たくてとてもおいしかった。まさに自然の恵みだ。それにしても、海を豊かにするためには、森にさまざまな木が生えていて多様性の高い植物と動物が住んでいなければならない、というアイデアに到達した慧眼には、驚きます。しかしそれ以上に驚くのは、それをすぐに実行に移し、それがどんどんと広がって今や、全国にそれが知れるようになったことです。




6月の植樹祭の様子。copyright 森は海の恋人

東日本大震災のすぐ後に行われた植樹祭を記念する碑。ライフラインすらまだ十分に回復していない時にあって、こういうときこと、このような運動を続けなければならない、ということで、行われたという。それを記念して建てられたということです。今回の気仙沼でのポケゼミを通じて、復興は少しづつ進んでいることが、よくわかったが、それにしてもまだまだようやく端緒についた、という感が強いです。その中で、この記念碑をみることで人々の胸に去来するものは何でありましょうか。おそらく未来永劫、その被害を忘れてはならないし、今後またくるかもしれない災害に備えての心構えも必要でありましょう。もちろん、瀬戸臨海実験所とて、こうした災害に対する備えは常にしていかなけれならないので、ひとごとではありません。

スギやヒノキの単純林になってしまうと、このような豊かな土壌にはならない。植林された木はまだ十分に大きくなってはいないものの、いかにも森らしい、美しい森が形成されていることが、よくわかりました。



さて今回もまたお世話になったNPO法人「森は海の恋人」ですが、下記にホームページがあります(画像をクリック)。





またNPO法人「森は海の恋人」Facebookは下記(画像をクリック)。




また同事務局のブログは下記です(画像をクリック)。




なお今回、畠山さんから興味深いエピソードを聞いた。ハンドバックなどの高級ブランドで有名なフランスの某メーカーが、三陸地方の養殖業及び水産業の復興支援の為、甚大な被害に遭われた宮城県気仙沼で牡蠣養殖業を営む畠山重篤氏が代表を務める「森は海の恋人運動」に義援金を寄付した、ということである。そのホームページには次のように書いてある(一部伏字)

------引用ここから----------- 
「森は海の恋人運動」は、「豊かな汽水域の恵みは豊かな森があってこそ生まれる」という点に着目し、おいしい牡蠣を育てるために、気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山へ植樹運動を続けるなど、環境保全及び環境教育活動を20年以上にわたり継続されています。畠山氏は、2012年2月、こうした功績をたたえられ、国連フォレストフォ-ラムの「フォレストヒーロー」に選ばれ、表彰されました。

50年前、フランスブルターニュ地方の牡蠣が病気による壊滅的被害に遭った際、宮城県産の種牡蠣がフランスに渡り、フランスの牡蠣業界を救って以来今日に至るまで、ブルターニュと宮城県との友好的な関係が続いています。

XXXXXの創業者がフランスのジュラ山脈の出身であり、トランクの素材にポプラ材を用いるなど、森とは深い縁があるXXXXXによるこのたびの支援は、フランスと宮城県との海を越えた交流、森や川、海といった自然を敬う活動への共鳴が発端となったものです。
XXXXXは今後も引き続き、「森は海の恋人運動」に対する支援を行っていきます。


------引用ここまで-----------



 世の中、何がどう繋がるかわからないものであるが、これも畠山さんのバイタリティーの求心力のなせる業なのでありましょう。梵天丸もかくありたい。



Sep 10, 2014

公開臨海実習「発展生物学実習」(+京都大学臨海実習第二部)⑧

実習レポート最終話です! 


最終日は恒例のBBQで打ち上げです!

朝倉先生の乾杯のごあいさつ. 


海の幸も山の幸も食べつくせ! 


ナーラさんのエジプトの手料理を堪能. 


味覚が「美味しい」か「すごく美味しい」しかない私は

食レポが非常に苦手なのですが,

なんといいますか,こう,スパイスが効いていて酸味もあって美味しかったです.

(伝えきれなくて無念です)


そして室内に移動して二次会(?)

打ち上げは夜遅くまで続きました. 


翌日はお掃除!

お世話になった実習室を襲寺して帰りましょうね! 


朝倉先生の締めの挨拶. 


動物学会などでは,近年発生進化学(エボデボ)や生態進化学(エコデボ)

と呼ばれる分野の研究発表が盛んです. 


一方,「終った学問」という印象もある系統分類学ですが,

実際には多くの未記載種や学名の整理に,

まだまだやることが盛りだくさんの分野です. 


それだけでなく,あらゆる分野の研究成果を全て形質として取り込めるという点で,

これからの発展性も見込める,やりがいのある分野だと私は感じています. 


瀬戸臨海実験所は,そのような系統分類学を行っている,全国でも数少ない研究施設です.

興味のある学生は是非とも門戸をたたいてみてくださいね. 


最後に,ウミウシフィギュア+マグネットをお土産に持って帰ってもらいました. 




というわけで 





京大+公開臨海実習終了!! 


お疲れ様でした! 







それでは! 







オフショット集参りましょう! 



小丸島を眺める畠島上陸者一同

大変良い天気でした. 


畠島のアマモ場で採集を行う麦わら帽子集団. 


様々なサイズの貝類の肉抜きに果敢に挑戦する学生一同. 


今回の目玉生物No. 1はこれ! 


スズメガイダマシという腕足動物です! 


タツナミガイの消化管から採取された石状の硬質物質.

どうやらこれで食物をすりつぶしている模様. 


院生の凌くんによる,標本撮影指導.

瀬戸院生から実習生への知の継承の現場です! 


必ず誰かがこれをやる! 


メイオベントス観察の際の浸透圧ショックでのバーテンダーの真似.

(今回は私のリクエストもありました(笑)) 


まるかわでの最後の晩餐の様子. 


お,お刺身です!

送り迎えまでしていただいて,美味しいお米がおかわり自由です!

一週間ありがとうございました! 


最後に,お土産のウミウシフィギュアのアップで締めといたします. 


一週間強,おつかれさまでした!

公開臨海実習「発展生物学実習」(+京都大学臨海実習第二部)⑦

アーウィンループを作成しても,観察対象がいなくては実習は始まりません.

ということで, 


フジツボから! 


砂の中から! 


メイオベントスを採ります! 


今回の目玉生物はコチラ. 


チリハギガイという,体長数ミリの寄生性二枚貝です.

普通はイガイ類に寄生しているという話なのですが,

なんとヒザラガイの表面をガリガリ削ってみたところ,

この貝が得られました. 


殻の中の黒くなっている部分では,

稚貝を育てているそうです. 


最後は朝倉先生による甲殻類の解剖.

磯に普通に見られるホンヤドカリを解剖し,

その機能形態や,体節性を学んでもらいました.

まずは殻を割って中身を取り出さなくてはなりません.

そのために使ったのが... 


この... 


万力っ!! 

実に優秀な対ヤドカリ兵器のおかげで,

このように硬い殻に引きこもったヤドカリも,無傷で白日の下にさらされました.

ちなみに,事前に採集したアルコール標本を用いています. 


このように,ピンセットで体節の付属肢を一本ずつ解体し, 


顕微鏡で観察します.

体節ごとの形態の違いを学んでもらいました! 


最後に,朝倉先生のセミナーで,

実習課題はおしまい! 


お疲れ様でした!