瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Jul 21, 2014

国際学会雑感 その2

posted by AA

 この1年ほどの間に参加した国際学会に関する雑感をシリーズで紹介します。その2です。


International Symposium on the Marine Biodiversity and their Sustainable Use
仁川大学、韓国. September, 2013

Copyright 洪在上

仁川大学



 このシンポジウムを主催した仁川大学の洪在上教授は、韓国の海洋生物学を代表する人物である。名字の洪はhongと発音するので、彼のことをホング先生と、われわれ日本のベントス学の人たちは呼んでいる。

洪在上教授 Copyright: 2nd Asian Marine Biology Symposium


 私がホング先生と初めてお会いしたのは2009年に韓国ベントス学会と日本ベントス学会の合同国際シンポジウムKorea and Japan Joint Symposium on Biology of Tidal Flat 2009”. Suncheon, Korea19-23 June, 2009が開催された時である。ホング先生は韓国ベントス学会の会長をされているのであるが、この時はフランスやドイツからの招待講演者があって、ホング先生が極めて流暢なフランス語と英語をあやつりながらシンポジウムを進行させているのを見て、そのスマートさとエレガントさに驚いたものである。若い頃はフランスで研究をされていたそうで、その関係もあってフランスを中心にヨーロッパ諸国に知己も多い。


 今回のこのシンポジウムにおいても、招待講演者は私と、あとはフランス勢で固めていてJ. G. Harmelin (Station marine d'Endoume, France)J. Vacelet (Aix-Marsille Univ.,France)とそれらの方々の研究チームの人たちで、これらの人たちはこのシンポジウムにひっかけて、韓国の代表的な海でのダイビング調査もされていた。

Prof. J. G. Harmelin (Station marine d'Endoume, France)


J. Vacelet (Aix-Marsille Univ.,France)



 ホング先生は韓国の浅海性海洋生物学の英雄とよぶに相応しい人で、その精力的な研究、学会やこの分野における人望とリーダーシップ、マネージメント力において抜きんでている人である。韓国の海洋生物のことならば、ホング先生に訊けば、迅速に対応してくださる。

 ある国において、このような人がいてくれると共同で何かをしようとする場合に、実に楽である。複数の国の研究者が共同で研究しようとする場合に、連絡が緊密かつ迅速である必要があるが、そのような窓口になってくれる人がいる場合とそうでない場合では、交渉の進展が全然違うのである。

 本年はホング先生が中心となり、日本ベントス学会と韓国海洋学会が主催する形でThe Second Asian Marine Biology Symposium が韓国で開催される。特に干潟の保全の生物学を中心とするPlenary Symposiumは注目されるところである。
 このシンポジウムの案内は以下のページで
  http://www.ambs2014.org/main/default.asp

Copyright AMBS


Prof. Karsten Reise
Alfred Wegener Institute for Polar and Marine Research, Germany
Plenary Session : The role of contingency in marine ecology.  
Copyright AMBS 2014.


Prof. Jennifer Ruesink
University of Washington, Seattle, USA
Plenary Session : Roles of native and non-native ecosystem engineers on tideflats.    Copyright AMBS 2014
Prof. John P. Giesy
University of Saskatchewan, Canada
Plenary Session : Status and Trends of Contaminants in the Yellow Sea: an International Perspective.    
Copyright AMBS 2014








国際学会雑感 その1

posted by AA

この1年ほどの間に参加した国際学会に関する雑感をシリーズで紹介します。


Annual Meeting, Society for Integrative and Comparative Biology
San Francisco, U.S.A.  January, 2013


Copyright SICB




この学会は発表が1500題ほどにもなる大きな学会大会である。この大会は例年1月の第一週から第二週にかけて行われる。この大会では他にもThe Crustacean SocietyAmerican Micoscopical SocietyAnimal Behavior Society の例会(大会)が同時に開催される合同大会である。

Copyright SICB

 この学会はかつてはAmerican Society of Zoologists という名称であった。つまりアメリカで最も代表的な動物学の学会である。この学会の役員を長くやっていたProf. John J. McDermott (Franklin and Marshall College, Pennsylvania)さんと話した時に、なぜ改称したかを教えてもらったことがある。アメリカ人にとってはZoologistsというのは、古くさい感じの単語なので、改称することにしたのだと言う。余談ながら、それを考えると日本の学会で未だにZoologicalとか Zoologyという名称、あるいは雑誌名で用いたものがあるが、アメリカ人から見るとそれは古くさい変な感じに思われているのかもしれない。
 私はThe Crustacean Society (TCS)の役員を14年やっており そのWinter MeetingがこのSICBで行われ、その役員会のために、この間はほとんど毎年参加してきた。「The Crustacean Society」という言葉は、日本語には直訳できないので(Theが常に大文字始まりの名称で、「甲殻類学会だ」、「これが甲殻類学会だ」、あるいは「代表的甲殻類学会」などの強調のニュアンスがあるが、日本語にはうまく訳せない)、通称「国際甲殻類学会」と訳している。ただアメリカに発祥があるので「アメリカ甲殻類学会」と訳す人もいる。また水産学の分野では「世界甲殻類学会」と訳してある文書を何回か見たことがある。この学会は年に2回のMeetingがあり、Summer Meetingは世界を巡って開催され、2009年には東京の品川の東京海洋大学で日本甲殻類学会大会との合同開催をした。一方Winter Meetingは必ずアメリカでこのSICBとの合同で開催される。


 
 このTCSの役員会は大会に先立って開かれることが多いので、日本を発つのは大抵元旦か1月2日である。つまりここ10数年はゆっくりお正月を楽しんでいることが出来ないでいる。最初は、元旦に飛行機に乗るというのはどのようなものか、と思っていたが、実際には通常の時と変わらない、ビジネスマンでいっぱいのアメリカ行きの飛行機である。またアメリカに着いてみると、どこの都市もお正月だからといって、特に華やいだ気分は無い。アメリカ人にとってはクリスマスの方が重要なようである。



 また先のMcDermottさんの話では、この学会が厳冬期に行われることに鑑み、アメリカの中でも暖かい場所で開催する申し合わせがあったと言う。ところが、ここ数年はソルテレクシティー、ボストンなどと寒いところばかりであり、私もその対策のためにダウンコートを新たに買ったほどである。それらの都市では私の滞在中は、日中の気温が0度まで上がることはなく、毎日のように雪が降っていた。何で厳冬期にこんな寒いところで、という感じである。しかし会場のホテルの室内は猛烈に暑く暖房されており、泊まっているホテルのルームは非常に乾燥している。
 この学会には世界中から参加があり、日本からも相当数の人が参加してくる。今回は奈良女子大学の遊佐陽一さんにお会いした。また神戸の理研の倉谷滋さんの研究チームもよく見かける。日本動物学会がブースを出していて辣腕マネージャーとして知られる永井さんが来られていて、動物学会とZoological Scienceの宣伝をしていたこともある。
 なおヨーロッパからは、かなり多数の人たちが参加するが、ヨーロッパの人たちは元旦から1週間ほどは通常家族と過ごす週であり、この学会の日程設定にはご不満の様子である。
 この大会は参加発表演題数からもわかるように、内容が実に多種多様であり、動物学に関するあらゆる研究の発表の場となっており、海洋生物を含む水圏生物の発表も多い。日本の大学院生が来ていることも良くあるが、彼らも多岐にわたる内容を楽しんでいるように見える。動物学の世界的な動向を知ることができるので、実におすすめの学会である。

 SICBのサイト http://www.sicb.org/
  

 今回、この大会で印象深かったのはTCSのセッションで、初めて日本の方がSpecial sessionを開催したことである。稚内水産試験所の川井唯史さんが、Zen Faulkes氏(The University of Texas-Pan American)と Gerhard Scholtz氏(Humboldt-Universität zu Berlin, Germany)とともに主催したSpecial Session: Crayfish Biology; a new model organism for the field of biologyである。 このセッションでは、重病を患って長きにわたって活動を休止して療養していたイタリアが生んだ偉大な甲殻類研究者であるFrancesca Gherardiさん(Universita degli Studi di Firenze, Italy)が来られて講演されていた。
Gherardiさんは私を含めて日本の研究者にも知己は多く、サワガニ、ザリガニ、ヤドカリなど生態学や分類学の研究者として知られていた。またInternational Association of AstacologyPresidentも務められていた。重病後のイタリアからの長旅であり、かなりお疲れの様子であり、また声がよく出なくなってしまっていたので、マイクを口にいっぱいにつけての講演であった。そのあと私と有志で食事をともにしたが、サラダがやっと食べられる、という具体であった。
この一ヶ月後とたたないうちに、Gherardiさんの死去のニュースが届き、関係者一同ショックを受けた。結局このSICBの講演が最後の講演となったのである。またそこまで体調が悪いのに、遠路はるばる無理をして招待講演を受けられたその義理固さに、ただただ頭の下がる思いである。Gherardiさんの最後の講演の様子はこちら

http://marmorkrebs.blogspot.jp/2013/02/remembering-francesca-gherhardi.html


私が初めてGherardiさんにお会いしたのは、1993年にドイツで開催されたInternational Senckenberg Symposium on Decapod Crustacea (Frankfurt a.m.)である。当時Gherardiさんの師匠であったイタリア甲殻類学の巨匠のMarco Vannini教授が率いる甲殻類研究チームメンバーが大挙して参加してきており、Florence Crab Teamという文字の入ったおそろいのTシャツを着ていた。私とは同世代の方である。


ありし日のFrancesca Gherardiさん



Gherardiさんの師匠のVannini教授による追悼文は下記。


Gherardiさんは2009年に私が東京で主催した国際甲殻類学会にも参加されていたが、私が「あのFlorence Crab TeamのTシャツが欲しい」と言うと「あれは1回洗濯すると文字が消えてしまいダメになってしまう」と冗談を言っていた。そのあと私が神戸大学に移ってから、そこの川井浩史教授の大学院生がチチュウカイミドリガニの帰化の遺伝的構造の研究をやっており、Gherardiさんにお願いして地中海産の標本を採集していただいたりした。Gherardiさんからの連絡はいつも早く、対応は親切、丁寧であった。私としても、このSICBで久しぶりに旧交を暖めて、いろいろなことをお話することができた直後の訃報で、本当にショックを受けた。

今年9月に、International Association of Astacologyは、日本甲殻類学会と合同でInternational Conference を札幌で開催するが、そのPlenary symposiumは、Gherardiさんを追悼するもので、“Conservation and Biology of Freshwater Decapoda: A Global Overviewと題されているが、これこそがGherardiさんが生涯追い求めたテーマと言える。またこのシンポジウムでは「Francesca Gherardi: Memories and her story」と題された追悼記念講演が、Gherardiさんの弟子であるElena Tricaricoさん(Universita degli Studi di Firenze, Italy)により行われる。
GherardiさんのWikipediaによるイタリア語の紹介は下記。


Jul 15, 2014

奈良教育大学の実習が開催されました!

Posted by Mokanishi

研究員のMokanishiです.

2014年6月30日~7月4日にかけて,奈良教育大学教育学部の臨海実習がおこなわれました.

本実習では,プランクトン観察,メイオベントス観察,畠島でのマクロベントス観察,水族館見学,ウニの発生実験,ナマコの解剖などが行われました!

畠島での磯観察

畠島で採集された生物の説明

 メイオベントスの洗い出し


 ウニの発生観察

 ナマコの解剖

田辺湾で採集したプランクトン

 水族館見学

記念撮影


愉快な学生さんと教員の方々に囲まれて,とても楽しい5日間でした!


例によって,詳しい様子は別のブログにまとめてありますので,こちらもご覧ください.

Jul 11, 2014

大阪教育大学の臨海実習が開催されました!

Posted by Mokanishi

研究員のMokanishiです.

2014年6月24日~28日にかけて,大阪教育大学教育学部の臨海実習がおこなわれました.

本実習では,プランクトン観察,メイオベントス観察,畠島でのマクロベントス観察,水族館見学,ウニの発生実験などが行われました!

畠島での磯観察

 マクロベントスの解説

 メイオベントスの洗い出しの様子

プランクトン採集の様子 

ウニの発生観察 

水族館での解説

例によって,詳しい様子は別のブログにまとめてありますので,こちらもご覧ください.

忘れた頃に「うみさわ会」開催報告



京大瀬戸臨海から本学に移ってはや一年のD2藤本です。
もう忘れてしまわれたかと思いますが、若手で集まって調査などを行う「うみさわ会」が瀬戸臨海実験所で五月に開催されました。「うみさわ会」のあと、風邪をひき、咳が止まらず薬漬けになり、分類学会に参加し、そのままフロリダの臨海実験所に調査に出掛け、帰り際、再び体調不良に陥り、薬を飲んで空港でボーっとしていたところ、ふと思い出しました。岡西さんと一緒にオーガナイズしたのに、私は何も「うみさわ会」について報告してない!

書かねば。

しかし、概要は過去の記事で紹介されてしまっています。
祝! 岡西政典さん、新ホームページ立ち上げ + 「うみさわ会」 in 白浜:第1~9章!
それにもう二か月近く前なのでよく覚えていません。

では私は何を書けばいいのか?

採集したクマムシと胴甲動物について書きたいところですが、今のところ見つかっていません。

何を書けばいいのか!

書けることを書こう!




私はフロリダ調査の往路で立ち寄ったシカゴのオヘア国際空港で遭遇した「トイレ」について書きます。
これがそのトイレの写真です。






私は、洋式トイレを見るのが初めての、狂信的和式トイレ派に囲まれていままでの人生を歩んできたわけではありません。
一見、センサーの付いた凡庸な洋式トイレのように見えますが、こいつは他の奴にはないものを持っているのです。

注目すべきはビニールッ!!紙の使い捨て便座カバーは米国でよく見かけますが、このビニールッ仕様はそれを自動化した次世代型なのです。センサーが人を感知すると、センサーの左から新しいビニールッ膜が出てきて、古いものが右の穴へと回収されていく仕組み。常に新しいビニールがお尻と接触するわけです(ビニールッにしわが寄っていて、座り心地は変な感じ。しわの寄らない便座密着型ビニールッが将来的に導入されることを期待しています)。あまりにビニール交換がかっこいいので動画を撮影してしまいましたが、容量の関係でここにはアップロードできません。



残念ながらこのタイプのトイレは、本調査の間、オヘア国際空港の外で見かけることはありませんでした。これからもトイレについて勉強していきたいと思います。




船を出していただいたOさん、Yさん、受入教員になっていただいた宮崎先生、中野先生をはじめ「うみさわ会」開催に協力していただいた皆様ありがとうございました。

POSTED BY フジモト