瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Sep 15, 2012

「動物学ひろば」に出展しました


会場玄関前にて白浜からの荷物を待つの図。
この頃は余裕があったのですが…。
9月13~15日にかけ阪大豊中キャンパスにて行われた日本動物学会第83回大会では、一般の研究発表以外にも様々な企画が行われましたが、そのうちの一つ「動物学ひろば」に、京大瀬戸臨海実験所と白浜水族館の合同で出展してきました。
 


閉館時間も過ぎ、大慌ての搬入作業です。
ちなみに準備万端の手前の2つのブースは、
東大三崎と東北大浅虫の臨海実験所です。
「動物学ひろば」とは、子供達を含めた一般の方を対象に、動物学に対する理解を深めてもらう事を目的とした展示企画で、我々にとっては今回が初めての出展となります。今回は、実験所所員の研究材料(ヤドカリ・ウミグモ・クマムシ・カサガイ)、臨海実習の実験材料(ウニ・ナマコ)、及び水族館で展示している南紀白浜の海を代表する動物(スズメダイ類の稚魚等)の生体及び標本展示と、標本の名前当てクイズとを行いました。前日の9月14日に水族館の原田・山内両技術職員が、展示生物やデモ用機器の類いを会場の阪大総合学術博物館まで車で運んだのですが、途中見事に渋滞にはまり、到着が博物館の閉館時間間近となってしまいました。この不測の事態に対し、時間外作業をお認めいただいた動物学ひろば担当の久保田洋先生と博物館スタッフのご配慮に、改めて感謝いたします。この日は原田・山内・岡西・座安・望月・宮崎の担当メンバーで最小限の準備だけ行い、翌15日の朝から本格的なセッティングを進めて、午前11時からの本番を迎えました。


開始後まもなくのブースの様子。
午前中は朝倉所長(右手前)も
応援に入ってくれました。
どの位の人が来てくれるのだろうかという不安は、始まってすぐに杞憂に変わり、それから終了時間の午後4時までほぼひっきりなしに人が来て、担当メンバー一同目の回るような忙しさでした。水槽や顕微鏡モニタでの展示はたくさんの人が興味を持って見学し、標本クイズも皆さん楽しんでくれ、豪華(?)景品(=ウニの殻や貝殻と説明ラベルを袋詰めしたもの)も好評でした。動物学ひろばへの入場者数が600名以上、標本クイズの参加者が問題用紙の残り枚数から見積もって約120名ということからも、かなりの盛況だったことがわかります。来場者の中には幼稚園生から高校生の、未来の動物学者・海洋生物学者が少なからずいて、大変心強く感じました。


動物学ひろば会場全景。
老若男女様々な人達で大盛況です。
さて来年の大会は9月26~28日に岡山大学で行われますが、動物学ひろばの開催も既に決まっています。白浜からの距離を考えると今回のような規模での生体展示は難しいでしょうが、今回の経験を活かしつつ、また違った形で瀬戸臨海実験所とそこで行われている研究の魅力をアピール出来ればと考えています。



(おまけ)
宿泊したホテルの窓から撮った「太陽の塔」の勇姿です。あれから42年。あの頃思い描いた2012年の世界では、最低でも紀勢本線はリニアモーターカーだったんですけどね…。


                                                                                                                                         (posted by KM)

Sep 14, 2012

平成24年度 水産増殖懇話会 第1回講演会

[懇話会ポスター]
日時:平成24年9月14日(金) 13:00~17:00
場所:水産大学校、山口県下関市
テーマ:最近のクラゲ研究とその水産増養殖への展開について

大量出現による漁業被害で有名になってしまったクラゲですが、水圏における生態的機能や食品等への利用など、多角的な側面からの研究紹介と、研究成果の水産増養殖への展開についての意見交換を目的として、100人規模の講演会が行われました。

わたしは「クラゲの平衡石を用いた日齢推定」というタイトルで発表してきました。クラゲがいつ、どこで、どんな環境で生まれるかがわかっていなければ、被害防止も有効利用も難しくなります。そこで、クラゲの齢指標として平衡石を提案し、これまで平衡石についてわかったこと、平衡石を用いた日齢推定によってわかったこと(クラゲの遊離時期、場所、環境)をまとめてお話ししました。

他にも、深海に生息するポリプ群集の発見、クラゲと他の生物の関係、クラゲの食品利用、クラゲ毒についての最新の研究成果が紹介されました。 発表を聴きに行くことの利点の1つは調査の臨場感を共有できることだと思いますが、演者の先生が実際にクラゲに刺されて刺胞の効果を調べる実験はとっても痛そう!でした。調査とはいえ、なかなかできることではありません。

この講演会の要旨は、日本水産学会誌の第79巻に懇話会ニュースとして掲載予定です。

(posted by marikok)

日本動物学会 第83回大会参加


発表の様子
日本動物学会 第83回大会(大阪大学の豊中キャンパス 2012913日―15日)に参加してきました。

一般発表534演題(12会場)、シンポジウム68演題(本部企画を含めて14会場)、関連集会39演題(10会場)、学会賞などの受賞者講演6演題、高校生ポス ター41演題、動物学ひろば16企画、合計で700を超える発表が行われたこということで、大変活発な大会でした

私は9月13日の系統・分類セッションで「分子系統に基づくツルクモヒトデ目(棘皮動物門:クモヒトデ綱)の系統分類学的再検討」というタイトルで発表を行ってきました。

私の専攻している分類学は生物学の中でも基礎的で、研究人口の少ない分野です。しかしながらこの頃では若手研究者も増えてきており、発表会場の聴衆も少なくありませんでした。また、今大会では若手の分類学者を主体としたシンポジウムもいくつかみられ、少しずつ活気づいてきていることを肌で感じました(希望的観測?)。

懇親会の様子
今後は、自分の研究対象の動物「分類」だけにとどまることなく、生態、発生、行動など様々な分野の知識も積極的に取り入れ、「動物学」に寄与し、またその成果を「分類学」に還元していくことで、さらなる発展が望める学問であることを、改めて認識できました。

夜はホテル阪急エキスポパークで参加者400人を超える懇親会が開かれ、大会の規模の大きさを伺うことができました。

このように今大会は非常に印象深く、決して記憶から失われることのないものとなりました。


(Posted by Mokanishi)

Sep 7, 2012

京大第一部+第四部+公開臨海実習「自由課題研究」

posted by Mokanishi, marikok, & Asakura

 [研究発表:マツバガイの
日周行動]
8月27日~9月3日に、臨海実習(京大第一部+第四部+公開臨海実習「自由課題研究」)が行われました。

自由課題研究では、海洋生物を材料として分類、生態に関する内容から自由に研究テーマを決め、それを実習期間中に遂行して研究成果を発表することで、一通りの研究の流れを理解することを目的としています。


今回は岩礁に生息するカサガイ類の行動パターンを25時間観察で調べるというテーマと、タイドプールの大きさや場所(汀線からの距離や海面からの高さ)によって、生息する生物にどのような違いがあるかを、干潮時の環境(水温、塩分、pH、溶存酸素など)と合わせて調べる、というテーマで行いました。

[クマムシの観察]
それと並行して、通常の臨海実習(ベントス、プランクトン、メイオベントスの採集と観察、さまざまな種類のウニの精子と卵を取り出して掛け合わせ実験、ケガキの発生実験を行いました。

微小なメイオベントスの採集と観察では、海岸から砂や海藻、フジツボなどの固着生物を採ってきて、それを洗った水をろ過したものを顕微鏡で観察します。

[ウニの採卵]
ウニの掛け合わせ実験では、ウニ9種から卵と精子を採取して、交雑可能かどうかを観察します。通常ウニは雌雄異体ですが、今回1個体しか採集できなかったハリサンショウウニが雌雄同体で、しかも自家受精するという興味深い現象がみられました。このような個体は、サンショウウニで比較的高い頻度で出現するそうです(石川・沼宮内、1988)。