瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Sep 28, 2016

気仙沼でのILASセミナー(その1)

posted by AA & Tomo


 昨年までポケゼミとよばれていた全学共通科目のカテゴリーが、本年度よりILASセミナーと名称が変わりました。 本年度もまた夏に気仙沼で実習を行いました。

 今年も2つのテーマ、すなわち東日本大震災からの復興の様子、森里海連環学のひとつのいしずえとなっている森は海の恋人運動のもと、実習を行いました。


実習の拠点である舞根森里海研究所。 NPO法人森は海 の恋人、京都大学フィールド科学教育研究センター、日本財団によって管理・ 運営されています。 教育施設、研究所としての機能を併せ もっていて、1年を通じて多くの実習が行われ、また研究者によって利用されています.







火おこし体験。サバイバル術として、木とナタとマッチ棒1本を使って、火をおこします。




大震災後に作られつつある津波よけの堤防の見学。これは最近できた高さ15 m もある防潮堤です。NPO法人「森は海の恋人」の副理事長の畠山信さんが解説してくださっています。




これもまた最近できた断面が台形の防潮堤。 この形であれば防潮堤そのものが倒れてしまうことがなく、堅牢であるそうです。




最近できたのぞき窓つきの防潮堤。この窓を通じて、どのくらいの津波が迫ってきているか確認できるそうですが、アクリルを使用しているので、太陽の光によって劣化するため5年ほどで交換しなければならないそうです。




東日本大震災の時には、著しい地盤沈下がおきました。この湿地もその時に出来たものです。すると不思議なことに、この湿地に絶滅危惧種の珍しい植物や魚が生息するようになった、ということで、ここを管理しているということでした。




湿地で説明されるNPO法人「森は海の恋人」の理事長の畠山重篤氏。








Sep 23, 2016

Amr F. Zeinaさんの日本滞在終了

posted by AA

エジプトのAl-Azhar University(Faculty of Science)から来られていたDr. Amr F. Zeinaさん(Lecturer)が、6ヶ月の瀬戸臨海実験所での研究を終えられて帰国しました。Zeinaさんは甲殻類の分類学を専門とされ、紅海産のヨコエビ類などを研究されています。
 今回は、私と一緒にシンガポールでのThe Crustacean Society Mid-year Meetingに参加したり、論文を仕上げたりと、とても熱心な研究活動を行いました。

 今後ますますのご発展に期待したいと思います。


Sep 19, 2016

祝! 佐藤 崇さん 論文出版!のつづき

posted by AA

瀬戸臨海実験所教育拠点研究員の佐藤 崇さんが,もう一本論文を出版されました.
 おめでとうございます!

論文タイトルと概要は以下の通りです.

⬛︎ Structure and variation of the mitochondrial genome of fishes.
Satoh, T. P., M. Miya, K. Mabuchi, and M. Nishida.

BMC Genomics, 2016, 17:719.
DOI: 10.1186/s12864-016-3054-y

URL: https://bmcgenomics.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12864-016-3054-y




概要
 ミトコンドリア (mt) ゲノムは,これまで多くの脊椎動物の進化研究に用いられてきました.しかし,そこにコードされる遺伝子に関する共通構造や不変領域の位置などの基礎情報,そして近年報告が増えている遺伝子配置変動について,大量データに基づき比較した研究は多くありません.そこで,脊椎動物の中で最も mt ゲノム全塩基配列データが蓄積されている魚類に注目し,これらの大規模データを詳細に比較することにより,mt ゲノムの基礎構造から変異特性までを網羅的に捉え,魚類 mt ゲノムを特徴づけることを目的としました.


 具体的には,条鰭類 248 種に軟骨魚類 2 種を加えた 250 種の mt ゲノムデータを元に,各遺伝子の比較解析を行いました.タンパク質遺伝子については,各遺伝子の開始・終止コドンの変異性や使用頻度,また遺伝子長や高次構造などを比較し,その特徴を整理しました.tRNA や rRNA 遺伝子に関しては,遺伝子長や保存的な配列などについて比較し,それらの結果を統合して,魚類における各遺伝子の代表的な二次構造モデルを決定しました.また,魚類 250 種の mt ゲノムから 32 科 35 種 (35/250 = 14%) で遺伝子配置変動例が見つかりました.さらにこれらの変動は,tRNA 遺伝子がクラスターを形成している IQM,WANCY 領域,そして ND5 から調節領域 (CR) にかけての領域に多く生じていることが明らかになりました.このような配置変動の多くは,科もしくは属間における有効な系統マーカーとなります.しかし,系統的に離れている種間で,部分的に同じ遺伝子配置を共有している例も判明しました.このことから,mt ゲノムの部分領域における遺伝子配置パターンの共有のみを,単系統性のマーカーとして単純に扱うことで解析結果に誤解を生じさせる原因となりうることが明らかになりました.

 本研究のような,大量のデータを基盤にした詳細な比較研究により,初めて魚類mtゲノムの基本構造や共通領域などの基礎情報が明らかになり,それを元に構造的特徴やその違い,遺伝子配置変動の進化パターンなどが可視化することができました.このような情報は,近年の大規模塩基配列データをもちいた進化研究や遺伝子のアノテーションシステムの開発などに大きく貢献するだけではなく,mt ゲノム自体の進化を理解するための重要な情報を多数含んでいるのではないかと考えています.